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彩球オーディオ倶楽部 第68回作品発表会 |
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快晴の秋空に紅葉がはえる三連休の初日の11月2日(土)に、埼玉県久喜市にある久喜総合文化会館小ホールにて、彩球オーディオ倶楽部の第68回作品発表会が開催されました。今回は「会員製作のアンプ、および新方式カートリッジを聴く」というテーマで、会員6名のアンプの発表とMEMSセンサーを使った振幅比例型カートリッジの紹介がありました。 当日は関東近県のほか東北、北陸、近畿などから200名を超えるオーディオファンが集まりました。また、受付には水害の義援金募金箱が設置され、発表会に参加された方々から10,800円もの暖かい義援金が寄せられました。当倶楽部からの義援金39,200円を合わせ、5万円を日本赤十字社に寄付いたしました。 |
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会場の久喜総合文化会館小ホール |
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第1部 作品発表 受信管の部 |
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第1部では、オーディオ用パワー管(受信管)を用いた3台パワーアンプが発表されました。発表者は25分の持ち時間の中で課題曲を約2分間演奏し、その後作品解説と選曲した音楽を数曲演奏するといういつもの形式です。課題曲はThe Super Premium Bandの「Take The“A”Train」です。 出品作品の回路構成についても、簡単に説明いたしました。会場で回路図をお買い求めの方は、回路図も合わせて御参照ください。 |
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(1) 嶋田 和弥氏 6B4Gシングルアンプ 3.5W |
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受信管の部の1番目の発表は、当会のベテラン会員でもある嶋田氏の6B4Gシングルアンプです。初段の増幅部がモジュール交換方式になっており、五極管接続の6SJ7と三極管増幅回路に直結したカソードフォロワの6SL7のモジュールを差し替えることができます。 無帰還構成のシンプルな回路で、CR結合された出力管の6B4Gは自己バイアスとなっています。OPTはタンゴのU-808を2.5kΩ接続で使っています。PTはLUXの8A54、チョークコイルはゼネラルトランス販売の製品でファインメットコアを用いた15H250mAです。 明るく力強い音で楽曲が持つ雰囲気をうまく表現するジャズ向きの6SJ7と、繊細な響きで演奏に使われている楽器を丁寧に表現するクラシック向きの6SL7の違いが、初段管のモジュール差し替えでよくわかりました。 |
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(2) 西堀 正一氏 6L6GC(UL)シングルアンプ 15W |
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受信管の部の2番目は西堀氏の6L6GCシングルアンプです。双三極管ECC81をSRPPに組んだ初段と、これに直結した双三極管5687AWの片側ユニットで必要なゲインをかせぎ、5687WAの他ユニットによるカソードフォロワのドライバ段で6L6GCをA2級駆動しています。OPTは5kΩに接続したタンゴのXE-20S、PTもタンゴのMS-330を使用しており、PTの165V巻線電圧をダイオードで倍電圧整流してB電源の450Vを得ています。またPTの60V巻線電圧をダイオードで倍電圧整流して-144Vをつくり、ドライバ段のカソード用負電源としています。さらに初段管のB電源は、トランジスタを用いたドロッパ型定電圧電源回路で200Vに安定化しています。なお、ドライバ段と6L6GCは直結とし、OPTの2次側から初段のカソードにNFBがかけられています。 ビーム管特有のスピード感のある力強い音です。テンポの速いジャズにぴったりで、Sara McKenziの歌うTightを充実した中音域でみごとに再現していました。 |
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(3) 竹村 厚治氏 7027A(UL) プッシュプルアンプ 12W |
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受信管の部の3番目は竹村氏の7024Aプッシュプルアンプです。自宅ではJBLのStudio 5シリーズのスピーカーシステムを使って、ロックやジャズを楽しんでおられるそうです。 初段にパラレル接続した双三極管12AX7Aを使用し、ムラード型位相反転回路に組んだ双三極管12AU7Aで6L6の高信頼管である7027Aを駆動しています。7027AはスイッチでUL接続と三極管接続が選択できるようになっており、パワーの出るUL接続での出品です。OPTはISOのFC-40-5、PTはタンゴのMS-250です。B電源は155Vを倍電圧整流して380Vを得ています。OPTの2次側から初段管に10.85dBのNFBがかけられています。 低域から高域までバランスがよく、楽器を表現する分解能も非常に高いアンプです。パワーも十分で、リンダ・ロンシュタットのステージを生々しく表現していました。竹村氏のオリジナルLPの演奏では、竹村氏自身が歌う「そしてあなたと」を甘い歌声で上品に再現していました。深みのあるボーカルがステージの前に出るようなアンプを製作するように心がけているそうです。 |
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第2部 テーマ発表 新方式、MEMSセンサーを使った振幅比例型カートリッジ 宮司 正之氏 |
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第2部は新方式のカートリッジを使ったLPレコードの試聴です。竹村氏の7027A(UL)プッシュプルアンプを使い、前半25分がステレオカートリッジ、後半25分がモノラルカートリッジを試聴しました。 2019年3月に開催されたMJのイベントにも出品されたカートリッジで、再生音がとても美しいということで当倶楽部の作品発表会でデモンストレーションしていただけることになりました。現在特許出願中とのことで構造については詳細な説明はありませんでしたが、コンデンサマイクを小型化したような構造との説明がありました。ICチップを使用しているためカートリッジに電源装置を兼ねた専用のヘッドアンプが必要ですが、針圧2.5gのMC/MMカートリッジのように使うことができます。 |
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LPレコード再生につきもののプチプチ音がほとんどなく、弦やパーカッションの響きがとても美しく自然です。驚いたのはモノラルカートリッジです。ハニーサックル・ローズを歌うマキシン・サリバンの歌声が明瞭に、バックの演奏がわずかに甘く表現されるのでステージに奥行を感じます。写真撮影に例えるならば、「ターゲットにピントを合わせ、その周囲を少しぼかすことで遠近感を表現している」といった感じです。もちろんモノラルなので左右の広がりはありませんが、ホールでの演奏なので気になりませんでした。 |
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MEMSセンサーを使った振幅比例型カートリッジ 電源装置を兼ねたヘッドアンプ |
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第3部 作品発表 送信管の部 |
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(1) 福嶋 猛夫氏 GM70 シングルアンプ 12W モノラル2台構成 |
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送信管の部の1番目は福嶋氏のGM70シングルアンプです。スピーカーボックスを製作したときに出た欅材を用いた、円盤型シャーシがモダンです。 初段管に三極管接続した6SJ7を用い、三極管接続した6V6Gのドライブ段でCR結合されたGM70を駆動する三段構成のアンプです。GM70は自己バイアスとし、700VのB電源はPTの300V巻線電圧をダイオードで倍電圧整流して得ています。また、ダンパ二極管6AX4GTを使った遅延回路がB電源回路のリターン側に挿入されています。GM70のフィラメントは3系統の6.3V4A巻線を直列接続してブリッジダイオードで整流した直流点火となっています。PTはPMF-GM70MHG、OPTはPMF-30WS-5K、チョークコイルはPMC-1023Zと、すべてゼネラルトランス販売の製品です。 「BUTTERFLY」を歌うMariah Careyのステージでは彼女の歌声を力強く、またOscar Petersonの「WAVE」ではライブのように生々しく再現していました。ステージの奥行感や楽器の再現能力も申し分ありません。懇親会で伺った話ですが、アンプがのっている欅のテーブルには送風機が仕込んであり、下からアンプを冷却しているそうです。 |
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(2) 気賀澤 美佐男氏 845 シングルアンプ 20W |
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送信管の部の2番目は気賀澤氏の845シングルアンプです。まるでメーカー製のような出来栄えですが、金属加工を職業にされているとのこと。何年か前に当倶楽部の作品発表会で845と出会い、ぜひ自分でも作ってみたいと挑戦されたそうです。 初段管に中μ三極管6J5を使い、三極管接続された6CA7によるドライブ段で自己バイアスの845をトランスドライブする三段構成のアンプです。インターステージトランスはタンゴのNC-14を使っています。845と初段・ドライバ段のB電源は別回路となっており、約1000Vの845のB電源はPTの850V巻線電圧を5R4GYで両波整流して、また初段とドライバ段のB電源は、PTの170V巻線電圧をダイオードで両波整流して得ています。なお、845のフィラメントはブリッジダイオードを使った直流点火となっています。PTはタムラのSTU-3012相当品、OPTはISOのFC30-10S相当品、チョークコイルPMC-1018とPMC-2030HWはゼネラルトランス販売の製品です。 ガラス管の中で煌々と輝くトリタンフィラメントが魅力のアンプです。「The Shadow of Your Smile」を歌うRosemary Clooneyのステージの再現力には圧倒されてしまいました。また澤田勝秋の津軽じゅんがら節では、ダイレクトカッティングLPのパワフルに弾ける撥さばきに、演奏が終わった瞬間会場からウォーという声と拍手があがりました。 |
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(3) 沼口 真一氏 813 シングルアンプ 20W |
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送信管の部の3番目は沼口氏の813シングルアンプです。木目が美しいシャーシの上で、上品に813が輝く素敵な作品です。アンプを作ったり壊したりしながら、40年以上もアンプ製作に挑戦してきたとのこと。トランスや抵抗器まで自作品です。 初段管に双三極管12AT7の片ユニットを使い、三極管接続された6BQ5のドライブ段でCR結合された813を駆動する三段構成のアンプです。813は固定バイアスの三極管接続となっています。813と初段・ドライブ段のB電源は、それぞれ別のPTから供給されており、813用PTでは617V巻線電圧をブリッジダイオードで整流して785Vを得ています。また813には初段・ドライバ段に対して遅延させて電力供給ができるように、スイッチが取り付けられています。各813のフィラメントにはそれぞれ100Wクラスのスイッチング電源を用いた直流点火です。自作OPTのインピーダンスは6kΩです。 Kenny
Gの「タイタニックのテーマ」やNicki Parrottの歌う「Besame Mucho」を、まるで映画館の中で聴いているようなゆったりとリラックスできる音色で表現していました。音に優しく包まれるので、目を閉じていつまでも音楽を聴いていたくなるアンプです。 |
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懇親会 |
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さて、無事に作品発表も終わり、お楽しみの懇親会です。今回も約40名の会員が会場の徳樹庵に集まりました。あつあつの鳥鍋を囲み、製作中のアンプや入手したスピーカーユニットなど、夜がふけるまでオーディオ談義に花が咲きました。 |
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次回の第69回作品発表会は、2020年1月25日(土)に幸手市コミュニティセンターでの開催となります。新年会ですので、スピーカーシステムの発表や講演などを計画しています。またオーディオでおおいに盛り上がりましょう。 |
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