彩球オーディオ倶楽部

65回作品発表会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10月とは思えぬ陽気の中、106日(土)に埼玉県久喜市にある久喜総合文化会館小ホールにおいて、彩球オーディオ倶楽部の第65回作品発表会が開催されました。

 

当日は関東一円ほか山形県などから、170名を超えるオーディオファンが集まりました。

 

 

 

 

 

 

会場の久喜総合文化会館

 

 

 

 

 

 

樫村会長の開会あいさつに続き、当会執行役員の高久氏の司会により12:30よりスタートしました。プログラムは、第一部が会員5名のアンプ発表、第二部がテーマ発表として当会の吉田副会長による「6L6系出力管の聴き比べ」、および蓮田在住の中島先生による「ジャズレコードの愉しみ3」でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.会員作品発表

 

 

 

 

今回は5名の方のアンプが発表されました。うち4台が直熱管シングルアンプ、最後の1台が傍熱管プッシュプルアンプで、それぞれに使用球の個性をうまく引き出すことに成功していたと思います。なお、共通課題曲は「ニーベルングの指輪ハイライト」から冒頭の2分間です。

 

 

 

 

 

(1)山内良志氏 2A3シングルアンプ 3.5W

 

上尾市からお越しの山内氏が持参した本機は約40年前に製作したロフチンホワイト回路のアンプです。初段12AX7と出力段の軍用2A3とは直結で、2A3245V/60Aの動作です。クリアで音の分離が良く、3.5Wとは思えない力強く濃密で纏まりの良い音に驚きました。ジャズやポップスとの相性が良いようで、ビルエバンスのピアノ「My foolish heart」が臨場感豊かに響きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)井上克己氏 RCA250シングルアンプ 4.5W

 

東京の井上氏は80年以上前に製造されたRCA250にファインメットトランスを組み合わせた作品で参加です。50系の出力管はグリッドリーク抵抗が10kΩ以下に制限されるため、ロフチンホワイトかトランス結合が推奨されていますが、本機はグリッドリークを10kΩとしチョーク負荷の6AH4でドライブする構成です。初段は6SN7です。定位が良くリアリティがあり、空気感が出るのが特徴で、前橋汀子の「ツィゴイネルワイゼン」では彼女の演奏テクニックを堪能しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(3)武田英一氏 VT-62シングルアンプ 6W モノラル2台構成

 

 

 

 

戸田からお越しの武田氏のアンプは送信管VT-62/801Aシングルです。一般的に送信管アンプは高いプレート電圧が製作上のネックになりますが、本機ではB電圧を400V程度に抑え、ドライバを6V6GT三結のカソードフォロワとして出力段をA2級動作にすることで、作りやすい電圧と大出力の両立に成功しています。オーバーオールで2.9dBの負帰還を掛けてスピーカー駆動力を高めています。透き通るようなカラッとした音色が持ち味で、アリソン・バルソンのフリューゲルが奏でる「Les Feuilles mortes」をリアルに表現しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4)冨岡郁雄氏 WE300B シングルアンプ 6W

 

茨城県からお越しの冨岡氏は、ウェスタンエレクトリックのWE91型を参考にし、WE-310AドライブWE-300Bシングルの2段で構成したシングルアンプです。外観上の特徴として、昔のアップル社製PCのケースを活用して組み立てられており、蓋をして施錠も可能とのこと。お孫さんが来た時に感電や火傷をしないように、という配慮だそうです。さすがWEの球は余韻が綺麗で、西直樹と高橋達也の「I remember Clifford」の演奏は力強い存在感がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(5)志比穎悟氏 WE349A プッシュプルアンプ 7W

 

志比氏は岐阜県から新幹線で、文字通りアンプを「担いで」お越しいただきました。349A6V6に相当する球で、志比氏が50年ほど前に入手したタンゴトランスを活用して超コンパクトに纏められたアンプです。入力トランスで平衡信号を作り5691349Aのダブルプッシュプル増幅というシンプルな回路で、クリアで響きの良い音色が特徴です。小鳩くるみ「月の砂漠」の澄んだ歌声が会場全体に広がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.テーマ発表

 

 

 

 

プログラムでは、「6L6系聴き比べ」と「ジャズレコードの愉しみ」の順番でしたが、機材の都合により急遽順序を逆にしてジャズレコードコーナーを先に行いました。

 

 

 

 

 

(1)中島康夫氏「ジャズレコードの愉しみ3

 

中島先生の「ジャズレコードの愉しみ」は今回で3回目となります。このコーナーはこれまでのアンケートでもご好評をいただいていましたので、今回はこれを踏まえて、中島先生の1万枚を超えるコレクションの中からスイング時代のヴァイヴの王様ライオネル・ハンプトン「スターダスト」(1947年録音)とモダンジャズ時代のヴァイヴの王様ミルト・ジャクソン「フランキー・アンド・ジョニー」(1969年録音)の聴き比べを中心にご披露いただきました。特に「スターダスト」は70年以上前の録音とは思えない臨場感で、会場は驚きに包まれました。このほか、ナットキングコールや最新のダイアナクラールまで、時代ごとに特徴のある演奏・録音・サウンドを愉しむことができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2)吉田幸吉氏 「6L6系出力管の聴き比べ」

 

6L61936年にRCAが開発したビーム電極付きのメタル出力管です。当初は業務用として使われていましたが、ガラス管入りのG管が開発され、以降、送信機用、高規格化など様々な改良が加えられ、開発から80年を超える現在でも多くの派生管が活躍しています。

 

今回は、こうしたオーディオ用真空管として最大のファミリーを構成する6L6系出力管の吉田氏コレクションから、代表的な管種を選んで聴き比べを行いました。試聴したのは以下の4種です。

 

@「6L6」(RCAオリジナル、メタル管、プレート損失Dp19W

A「6L6GC」(Sylvania、チューブラー管、Dp=30W

B「KT-66」(GECG管特殊、Dp=25W

C「WE-350B」(WEGST16Dp=30W

 

 

 

 

 

 

 

                        聴き比べに用いた万能アンプ(下部はヒーターや電極電圧を任意に設定できる電源部)

 

 

 

 

 

 

筆者には、オリジナル6L6は癖のない丹精な音、6L6GCは若干豊潤さを含んだ暖かい音、KT-66は切れ込みの良いクリアで力強い音、WE-350Bはウェスタンらしい美しい余韻、と、4種の球の音色がそれぞれ特色を持っているように聴こえました。皆さんは如何だったでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

3.懇親会

 

 

 

 

発表会の終了後、恒例の懇親会を久喜駅近くの和食店「徳樹庵」で開催し、約40名の方に参加いただきました。午後5時半、樫村会長の乾杯の音頭で宴会が開始となり、おいしい鍋料理とお酒を堪能しつつオーディオ談義に花が咲きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は201922日に幸手市コミュニティセンターにおいて、スピーカー作品発表を中心とした新年会を開催する予定です。ぜひ多くの皆さんにお越しいただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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