彩球オーディオ倶楽部

63回新春発表会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久しぶりに降った大雪がところどころに残る127()に、埼玉県幸手市にある幸手市コニュニティーセンターにて、彩球オーディオ倶楽部の新春発表会が開催されました。当日は晴天ではありましたが、きびしい寒さの中120名を超えるオーディオファンが会場に集まりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彩球オーディオ倶楽部の新春発表会は、久喜総合文化会館では発表できない小規模なスピーカーシステムの発表が中心となります。今回は「自作バックロードホーンスピーカーシステムを楽しむ」というテーマで、4名の会員の作品が発表されました。

 

作品のスピーカーシステムは、会場に設置される前に別室に集められ、小澤隆久先生によって1mのニアフィールド特性、ホーン開口部の音圧特性、およびインピーダンス特性が計測されました。このデータは会員によってグラフに加工され、発表の際にプロジェクターを使ってステージ後方に投影されました。

 

 

 

 

 

 

小澤先生による特性計測のようす

 

 

 

 

 

 

 

 

1部 自作小型スピーカーの発表

 

(1) 3WAY全指向性同軸型バックロードホーン 中島孝嗣氏

 

 

 

 

 最初の作品は第2MJフェスにも出品された、美しい円筒型の全指向性同軸型バックロードホーンです。径の異なる円筒が同軸状に組み合わされて、3回折り返しのホーン音道が形成されています。FOSTEX製の口径12cmフルレンジFE126Enを上向きに、8角錐のデフューザー部にホーンツイータFT17Hを下向きに配し、底部のASWポートの中には、口径10cmFK10Wが入っています。

 

歯切れのよい低音と、力強い中音域が特長のシステムです。ステージの再現力も素晴らしく、カンターテ・ドミノでは合唱団のメンバーがひとりひとり目に見えるように感じられました。またジャズの演奏では豊かで爽やかなベースソロを披露し、完成度の高さを感じました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2) コーラル ベータ8 20cmバックロードホーン 笹沼米治氏

 

 

 

 

2番目の作品は、右と左の形状が異なるバックロードホーンシステムです。左チャンネルは長岡式、右チャンネルはスパイラル型です。特にスパイラル型は側面にホーンの開口部があり、ふっくらとした低音が特徴です。コーラルベータ8は、仕事で福岡県に赴任していた時に入手したとのこと。いろいろな構造のシステムに興味を持つ笹沼氏は、スピーカーシステムを1本づつ自作するので、自宅には同じ形状のスピーカーシステムがないそうです。

 

ジャズやロックに向いた力強い低音です。オスカーピーターソンのYou Look Good To Meでは、力強いピアノと歯切れのよいベースが心地よく響きました。スパイラル型の柔らかで聴きやすい低音が、とても気に入りました。

 

 

 

 

 

 

  

左側が長岡式、右側がスパイラル型バックロードホーンです。

 

 

 

 

 

 

 

 

(3) フランス製 CABASSE 21.5cm バックロードホーン 米沢清氏

 

 

 

 

3番目の作品は、フランス製の口径8.5インチのダブルコーンユニットと、GOTOSG-17Sをツイータに用いたバックロードホーンです。CABBASSE HP24-25はフランス国営放送でモニタに使われていたユニットだそうです。エンクロージャはFOSTEX20cm用バックロードのキットで、内部にはウール、開口部にはフェルトの吸音材を使っていると説明がありました。

 

中音域が充実した柔らかな音色のシステムです。音圧特性も10010kHzまでほぼフラットで、オーケストラをとても自然に表現していました。特に、チゴイネルワイゼンの力強いバイオリンにはうっとり聴き入ってしまいました。美空ひばりと青江美奈の艶のある歌声も忘れることができません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4) 2WAY型バックロードホーン 栗田茂氏

 

 

 

 

 作品発表の最後は、ひときは目をひく大型のバックロードホーンです。高音域は削りだしのウッドホーンとFOSTEX D1405、中低域はフロントロードとバックロードを組み合わせて、裏表逆に付けたFOSTEX FE208EΣで駆動しています。このシステムの姉妹機が、過去のMJ誌のサイドワインダーに掲載されているそうです。ちなみに、高域ウッドホーンの水平開口角は100度、広がり係数T=0.7のハイパブリックホーンで、カットオフ周波数は640Hz、クロス周波数は1.1kHzだそうです。また、中低域には高域をメカニカルに減衰させる工夫がしてあり、1kHz以上を8dB/Octで減衰させ、ネットワークの簡素化を図っているそうです。

 

 中音域から低音域にかけての歯切れがよく、スピード感のある自然な音です。ボーカルも美しく、When I Look in your eyesを歌うダイアナクラールをとても魅力的に表現していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2部 「MJ201801/02号に発表した高音質スピーカーでSACDを聴く」

小澤隆久先生

 

 

 

 

 第2部はMJ誌の小型スピーカーに関する製作記事でおなじみの小澤先生による講演です。前半はバックロードホーンの設計方法についての解説、後半はMJ誌に掲載したスピーカーシステムの試聴という内容でした。

 

プログラムの添付資料として、バックロードホーンの設計手順と特性シミュレーションの結果が配布されました。より詳細な設計法がMJ誌に掲載されていますので、興味のある方はぜひ先生の記事を参考にしてください。

 

後半で試聴した高音質スピーカーシステムのポイントは、下記のとおりです。

(1) 運搬が容易な分割式エンクロージャ―

(2) 広いダイナミックレンジ

80Hz以上は振動系の軽いフルレンジで再生。さらに中低音域は4本のフルレンジで振動部面積を確保。

(3) ユニットの共振点しか持たない密閉式による低音域の質の確保

(4) アクティブ型ウーファーを用いた低音域の拡大

(5) スーパーツイータ―を用いた高音域の質の向上

 

クラシックやボーカルなど約50分、じっくり製作記事のシステムを試聴しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3部 「Jazz四方山話3」 関口英雄先生

 

 

 

 

3部は関口先生のジャズの講演です。今回はモノラルを楽しむというテーマで、下記の三つの時期のLPレコードを楽しみました。

(1) SP盤に録音されたソースを編集したLP

(2) ステレオが誕生する以前のモノラルLP

(3) ステレオとモノラルのLPが並行発売されていた時期のモノラルLP

特に当時の時代背景とジャケットの解説、現在販売されていないLPレコードを入手するための努力など、とても興味深い内容でした。

 

演奏に用いたスピーカーは、樫村会長自作のJBL36cmユニットを用いた3WAYバックロードホーンシステムです。ステージいっぱいに心地よいジャズの世界が広がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新年会

 

 

 

 

無事作品発表会も終了し、会場を談話室に移してお楽しみの新年会です。今回は人気の和室での宴会スタイルです。4名の新会員を含む40名の参加者がありました。いつものように、テーブルのあちこちでローカルな試聴会の計画を話し合うグループやアンプの回路方式について議論する会員があり、とても盛り上がりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新年会とあって、今回は尺八の生演奏がありました。洋楽とは全く異なる楽譜や楽曲が描く心象風景などの解説などもあり、普段ライブでは聞く機会がない奥深い邦楽の世界を堪能することができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回の第64回作品発表会は、519日(土)に久喜総合文化会館で開催されます。またオーディオでおおいに盛り上がりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

inserted by FC2 system