彩球オーディオ倶楽部

56回作品発表会

 

 

 

 

 

 

 

 

  街角の木々が色づき始めた20151031日(土)に、埼玉県久喜市の久喜総合文化会館小ホールにて、彩球オーディオ倶楽部の第56回作品発表会が開催されました。当日は今にも雨が降り出しそうな曇り空でしたが、日本全国から200名あまりのオーディオファンが集まりました。

 

今回は第1部が5名の会員による作品発表、第2部がアコースティック・リバイブでおなじみの関口機械販売株式会社様と日本ドライルーブ株式会社様による導通向上クリーナーのデモンストレーション、第3部がバリレラ・カートリッジを使ったモノーラルLPの試聴という3部構成となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1部 作品発表

 

 

 

 

樫村会長による開会のあいさつ、そして司会の手塚氏による使用機器の紹介のあと、いつもの通り25分の持ち時間で共通の課題曲を約3分、出品者の選んだ曲を数曲演奏するというスタイルで作品発表が始まりました。

課題曲はクリスタル・ゲイルの「When I Dream」です。

 

 

 

 

 

 

 

(1) 6CA7シングルステレオアンプ 5W 嶋田和弥氏

 

 

 

 

前日まで、重いアンプを持ってリスニングルームと工作室の間を往復して調整した甲斐があり、厚みのある力強い音色のアンプに仕上がりました。ドボルザークの「新世界」の演奏では、ティンパニーやホルンでその実力が十分発揮されています。自宅では主に演歌と洋楽を楽しんでいるとのことで、竹越ひろ子の歌う「東京流れ者」では、その迫力に嶋田氏の音へのこだわりを感じました。

 

 中μ三極菅12AT7によるSRPPを初段とした、シンプルな2段構成の無帰還アンプです。今やヴィンテージ管ともいえる松下製6CA7を自己バイアスで用い、負荷は3.5kΩとなっています。出力トランスは特注品、電源トランスはTANGOMX2805HのチョークコイルもTANGO製です。AC280Vを整流管5AR4で両波整流し、B電圧351Vを得ています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(2) WE300Bシングルステレオアンプ 8W 原口明氏

 

 

 

 

 前橋汀子の歌う「Ave Maria」や木住野佳子の「Danny Boy」では、トランスドライブされた300B特有の中音域が充実した力強く明るい音色を披露してくれました。また一方、エラ・フィッツジェラルドの歌う「Mack the knife」のように、軽快で躍動感あふれる表現もありました。ローズマリークルーニの「God Bless America」のライブも忘れることができません。

 

初段に中μ三極管の76を使い、71AでインターステージトランスをドライブしてWE300Bを励振させる3段構成の無帰還アンプです。インターステージはTAMURAB6003、出力トランスもTAMURAF2007を使っています。整流管もWE274Bを用いる予定でしたが、調整中にトラブルがあり、残念ながら5U4での出品となってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(3) 5881プッシュプルステレオアンプ 15W 青柳英次氏

 

 

 

 

 今後製作していくアンプやスピーカのリファレンスにするため、音ばなれのよいアンプを目指したそうです。もちろんその目標は見事に達成され、帯域が広く透明感の高い音色のアンプとなりました。ビル・エバンスのダイナミックな「枯葉」では、ステージ上のピアノ、ベース、ドラムスの定位がしっかりとれており、演奏の熱気が直接伝わってきます。おもわず印象を記述するメモを取るのを忘れて、聴き入ってしまいました。ロス・インディオス タクナウの「コンドルは飛んでいく」でも、美しいギターの弦の響きを披露してくれました。

 

 三極五極管6AN8の五極部を初段増幅に使い、三極部のPK分割で位相反転を行って5881を駆動するアルテック型のアンプです。出力トランスの2次側から初段管のカソードに、約12dBのオーバーオールの負帰還がかけられています。電源回路はダイオードによる倍電圧整流です。5881はプレート電圧を336Vとし、24Vの自己バイアスをかけた五極管接続で動作させています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(4) 6BX7-GT パラレルプッシュプルステレオアンプ 15W 松本登氏

 

 

 

 

ポップな色彩で現代のリビングにとてもマッチする松本氏のアンプは、すべて自分で家庭用塗料を使って塗装しているとのこと。とてもコンパクトな外見ながら、出力15Wとなかなかの実力です。広帯域でさわやかな音色が特長で、スッペの「軽騎兵 序曲」ではコンサートホールの奥行きまでみごとに再現していました。また岡本彰生とゲイスターズの「朝日のようにさわやかに」では、元気なビッグバンドをステージいっぱいに再現してくれました。オーケストラ、ブラスバンド、ビッグバンドと、大編成の演奏を堪能した25分でした。

 

高μ双三極管6AQ8の片ユニットで初段増幅し、中μ双三極管12AU7によるムラード型位相反転回路で、パラレルプッシュプル接続された双三極管6BX7-GTを駆動しています。6BX7-GTは電力増幅菅のカテゴリーには入っていない球ですが、規格表を見るとA級増幅でプレート電流を42mAも流す動作例も載っており、出力管としてのパワーを秘めた球と思われます。まさにアマチュアの真骨頂を発揮した珠玉の1台です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(5) DA42 シングルステレオアンプ 8W 三須啓三氏

 

 

 

 

DA42B級プッシュプル増幅用のポジティブ・グリッド傍熱型三極管なので、A1級シングルで動作させるための電源とバイアス回路の設計に苦労したそうです。その甲斐あり、中音域が美しく、また力強い表現するアンプに仕上がりました。ビバルディの「チェロコンチェルト Gマイナー 第1楽章」では、チェロの響きを情感豊かに表現しました。充実した中音域はジャズ再生でも実力を発揮し、ケニー・バロン・トリオの「Minor Blues」では力強いピアノやドラムスを、ペギー・リーの「How Long Has This Been Going On」では妖艶な歌声を堪能しました。

 

初段にMullardEF37A、ドライバ段にGECML-6、出力管にGECDA42と、英国製真空管にこだわった逸品です。出力トランスにはTANGOFX50-7Sを用いており、1次側から初段のカソードに直流をカットした11.5dBのオーバーオール帰還をかけています。ドライバ段はカソードフォロワですが、プレート側に+210V、カソード側に-27Vをかけ、DA42+14Vのバイアスを与えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2部 導通向上クリーナー ECI-100のデモンストレーション

 

 

 

 

東洋ドライルーブ株式会社の武藤様より、導通向上クリーナー ECI-100の説明とデモンストレーションが行われました。このクリーナーは特殊なオイルにナノカーボン粒子を溶け込ませたもので、MJ5月号の付録にもなったのでご存知の方も多いと思います。実際のクリーナー液はスプレー缶に入っており、綿棒に噴霧して端子や真空管の足などを清掃します。オイル内のナノカーボン粒子が金属表面の傷や凹部に入り込み、接触抵抗を低減させる効果があるのだそうです。

 

 デモンストレーションでは、MCカートリッジを用いたオーディオシステムの信号の入力側から順に端子等をクリーニングしていき、音色がどのように変化するか確認しました。デモンストレーションに使ったレコードは、カンターデドミノのB2曲目です。

 

なおデモンストレーションで感じた表現は、すべて私の個人的な印象ですのでご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1) MCカートリッジとMCトランスの入力端子のクリーニング

 

 

 

 

MCカートリッジとアームの接点と、MCトランスの入力端子をクリーニングして音色を確認しました。クリーニングをしていない状態と比較して、低音の厚みが増し、全体的な明瞭度が向上したように感じました。

 

 

 

 

 

 

(2) MCトランスの出力端子とプリアンプの入出端子のクリーニング

 

 

 

 

(1)のクリーニングに加え、MCトランスの出力端子とプリアンプの入出端子のクリーニングを行いました。(1)の音色に対して、音量が増したように感じました。

 

 

 

 

 

 

(3) パワーアンプの電気接点のクリーニング

 

 

 

 

(1)と(2)のクリーニングに加え、パワーアンプの入力端子、スピーカ端子、真空管の足、電源プラグをクリーニングしました。(2)の音色に比べ、低域から高域までさらに明瞭度が向上し、かつ全体的に柔らかな音色になったように感じました。

 

クリーニング直後よりも、1日経過したほうが音質は向上するとのこと。効果は約1年間持続するそうです。樫村会長から、MJ誌の付録の綿棒で懐中電灯の豆電球の接点をクリーニングしたところ、明るさが増し導通向上の効果を実感したとの話もありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 3部 バリレラ・カートリッジ研究パートU

 

 

 

 

 第54回作品発表会では「バリレラ・カートリッジ入門編」というテーマで、GE製のRPX型カートリッジとUPX-003型イコライザーアンプの組み合わせで1950年代のLPを楽しみました。今回はこれを発展させ、会員が所有している貴重なバリレラ・カートリッジから3機種を選び、試聴することになりました。試聴に使ったモノーラルLPレコードも、すべて195060年代のオリジナル、アンプも当時の最新モデルMaranz #7McIntosh MC-60です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1) GE Backman Model Cartridge

 

 

 

 

帯域が広く、透明感の高い音色です。Nat King Coleの「When I Fall in Love」では、明るく軽快な歌声を披露してくれました。現代のオーディオでも十分通用する音質であり、製品として流通していないのがとても残念です。

 

 

 

 

 

 

(2) Tannoy Variluctannce 3way Cartridge

 

 

 

 

 イギリスのタンノイ社の製品で、ターンオーバーさせることにより、SPLP1個のカートリッジで楽しむことができます。中音域が厚く力強いのが特徴で、ボーカルやサクスフォンなどの楽器を生々しく再生していました。

Rosemary ClooneyのモノーラルLP盤で演奏した「While We’re Young」や、三橋美智也のSP盤で演奏した「古城」では、立体感こそないものの、現代のCD演奏にも匹敵するクォリティの高さにびっくりしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

(3) GE RPX053 3way Cartridge (Golden treasure

 

 

 

 

最後は、バリレラ・カートリッジの標準機ともいえるGE社製RPX053の登場です。高域から低域までとてもバランスがよいのが特徴です。Duke Ellingtonの演奏する「St. Louis Blues」では、歯切れがよくスピード感のある演奏が印象的でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懇親会

 

 

 

 

 さて、無事作品発表会も終了し、場所をいつものレストラン・ヴィラージュに移して、お楽しみの懇親会の始まりです。今回も2名の新規会員の方を含め、40名の参加がありました。樫村会長のあいさつのあと、新人紹介、そして乾杯と続きました。

 

美味しい料理とワインを飲みながら、あちらこちらに会員の輪ができ、オーディオ談義が始まりました。新しいアンプやスピーカの製作や、ローカルに行われる試聴会の計画など、次から次と運ばれてくる料理を食べながら仲間通しで打ち合わせです。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

談笑がひとくぎりついたところで、ジャズの生演奏が始まりました。店の奥でワインを傾けながら楽しむ人、自分の部屋のリスニングポイントに近い場所でじっと音楽に聴き入る人、バンドのすぐ横でメンバーになった気分で堪能する人、さまざまなスタイルで約2時間の演奏を楽しみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、次回は130()に幸手コミュニティセンターで開催される新年会です。またオーディオで大いに盛り上がりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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