彩球オーディオ倶楽部

52回作品発表会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 天候に恵まれ新緑もまぶしい426日、埼玉県久喜市の久喜総合文化会館小ホールにて、彩球オーディオ倶楽部の第52回作品発表会が開催されました。ゴールデンウィーク初日とあって、今回も関東近県のみならず日本中から200名を超えるオーディオファンが集まりました。

 

 今回は当倶楽部のベテラン会員による自作アンプ5作品の発表と、「直熱三極管の聴き比べ」が行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 樫村会長の開会のあいさつのあと、来賓として管球王国誌でおなじみの新先生と、MJ無線と実験誌の執筆者の征矢先生のあいさつがありました。つづいて、湘南SPレコード愛好会の村上会長からあいさつがありました。

 

 

 

 

 

1部 作品発表

 

300Bシングルアンプ 7W 福島猛夫氏

 

トップバッターは山形オーディオ倶楽部の菅野氏の予定でしたが、都合により欠席されたため、福井県から参加された福島氏の300Bシングルアンプが披露されました。このアンプの基本設計は菅野氏が行ったということもあり、発表予定の50シングルアンプのリリーフに抜擢されました

 厚さ5cmもある欅の板をくりぬいたシャーシが特徴の、とても風格のあるアンプです。300Bらしい明るく癖のない音で、テーマ曲のCAROLE KINGの「HOME AGAIN」を演奏しました。歯切れのよいアコースティックギターのジプシーキングのインスピレーションも印象的でした。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

SV811-3シングルアンプ 15W 飯田一峯氏

 

 2番手は飯田氏のSV811-3シングルアンプです。出力管SV811-3は送信管811をオーディオ用にモデファイした球で、プレートがベース側から引き出されているのが特徴です。出力管のプレート電圧を800V、ドライバ管6BX7のプレート電圧を700Vとし、CRで結合させているそうです。

送信管特有のワイドレンジで爽やかな印象の音です。ステージ上の楽器やボーカルも自然に感じられ、ブラックコーヒーを歌うペギーリーやWalts for Debbyを演奏するBill Evansのピアノを、軽快に表現してくれました。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

12GB7パラレルSEPP OTLアンプ 10W8Ω 屋代和夫氏

 

 

 

 

 3番手の屋代氏のアンプは、テレビ用水平偏向出力管12GB74本パラレル接続したOTLアンプです。パワートランスは、OTL用にL/RB電源を別巻にした特注品で、いわきの建具屋さんで作ってもらったという会津塗りのアルミ複合板と紫檀でできたシャーシも貫録十分です。

 送信管とは一味違った、スピード感のあるOTLアンプ特有のサウンドです。2トラ38で録音した藤家虹二のライブをCDに落としたというソースを演奏しましたが、力強いドラムスの音が印象的でした。3曲目に演奏したBill EvansSomeday My Prince Will comeでは、軽快なベースが心地よく響きました。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

EL152プッシュプルアンプ 12W 原口明氏

 

 4番手の原口氏アンプに使われているEL152EL156を小型にしたような形状をしていますが、プッシュプルにすると30W以上の出力を取り出す実力を持っているそうです。今では入手が困難なことからプレート電圧を250Vとし、出力を12W に抑えて使っているとの説明がありました。いつもは自己バイアス回路で設計していますが、今回は初めて固定バイアスのウィリアムソン型回路を採用したそうです。

 中音域が充実し、緻密で聴きやすい音です。3曲目に演奏されたNnenna FleelonOverjoued」の伸び伸びとしたトランペットの響きと、5曲目のCELINE DIONの艶のあるボーカルが印象的でした。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

6L6Gプッシュプルアンプ 19W 石風嘉彦氏

 

最後の作品は、石風氏の6L6Gプッシュプルアンプです。いつも使っているタンノイをタンノイらしく鳴らすために、ビーム管接続のプッシュプルにNFBをかけて、適度なダンピングファクタを持たせる回路を採用したそうです。

タンノイ用アンプということですが、会場に設置されたアルテックを力強く鳴らしました。また、モーツワルトのフルート協奏曲K2851楽章では、フルートと弦を繊細で艶のある響きで披露してくれました。最後に演奏した三上寛の「霧にむせぶ夜」も忘れることができません。

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

2部 直熱三極管の聴き比べ

 

 彩球オーディオ倶楽部の作品発表会では、会員の作品のあとに毎回楽しいイベントが企画されています。今回は、当倶楽部の執行役員を務める上田氏に所有している直熱三極管の中から普段聴く機会の少ない球を選んでいただき、開発の経緯と特性を解説していただくことになりました。また真空管自身の持つ音色を比較試聴するため、無帰還のシングル構成で、かつフィラメント電圧、プレート電圧、バイアス電圧と出力トランスのインピーダンスが各球に合わせて設定できる特殊なアンプも上田氏に製作していただきました。

 

 プロジェクタを使って真空管の開発の経緯、特性、アンプ製作の注意点などの解説があり、ベートーベンのピアノ協奏曲第五番「皇帝」とCharlie RouseSTELLA BY STARLIGHT3分ほど演奏するという形で進められました。各真空管の音色の違いもはっきりわかり、参加者はとても参考になったと思います。

 

試聴した真空管を下記に示します。

WE300B  WE

 ・811A  GE

 ・801A  RCA

 ・TA-20  MAZDA

 ・PX-25 KR

 ・6A3  WH

 ・WE275A  WE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   試聴に使った三極出力管コンパチアンプ           可変電源装置

 

 

 

 

 

 

 

 

3部 LPタイム

 

 最後は名曲をLPレコードで楽しむLPタイムです。今回はScott HamiltonCANADIAN BRASSのアルバムを楽しみました。演奏もさることながらレコード盤の保存状態も完璧で、LPレコードを提供していただいたオーナーの心が伝わってくる珠玉の30分でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

懇親会

 

無事に作品発表会も終了し、会場をレストラン「ヴィラージュ」に移して、お楽しみの懇親会の始まりです。今回は初参加の方7人をはじめ、50人もの仲間が集まりました。ワインやビールを片手に食事を楽しみながら、新しいオーディオシステムについて談笑する人たちや、個人的な試聴会の開催に仲間を募る人たちの輪が、会場のあちらこちらにできていました。

 お酒もまわりオーディオ談義が一段落したところで、ジャズのライブ演奏が始まりです。自分の部屋で聴くような感覚で迫力の生演奏が聴けるとあって、バンドのまわりには幾重にも人垣ができました。今回も夜が更けるまで、たっぷり生演奏を堪能しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、次回は第53回作品発表会となりますが、1025日(土)に久喜総合文化会館小ホールで開催される予定です。次回も楽しいイベントが企画されておりますので、ぜひ会場にお越しください。

また皆様とお会いできることを楽しみにしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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