彩球オーディオ倶楽部

45回新春作品発表会

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

去る2012年1月28日(土)に、埼玉県久喜市にある三高サロン「瑠璃の間」にて、彩球オーディオ倶楽部の第45回新春作品発表会が開催されました。当日は100人を越えるオーディオファンが集まりました。 

 

 

 

 

 

会場となった三高サロン

 

 

 

 

 

 

 

 

 新春の発表会は比較的小規模なシステムにスポットをあてるため、結婚式場などを借りて開催しています。今回も小型スピーカーとアンプを楽しむ催しとなりました。

発表会は下記の3部構成です。

 

1部: 「604ユニットの新しい楽しみ方」というテーマで、

同軸型スピーカーシステムの改造についての発表

2部:: 会員製作のアンプ2作品の発表、

3部: 小澤隆久先生による技術セミナー

「小型スピーカーシステムの設計と製作」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1部 「604ユニットの新しい楽しみ方」

 

(1)         トゥルソニック206について 樫村会長

 

 

トップバッターは、アルテック604と同じ同軸構造を持ったトゥルソニック206の試聴です。古いユニットですが、樫村会長は中心部のホーンの形が気に入って購入したそうです。自作のネットワークのツィータ部を1.5kHzのハイパスに、ウーファ部を3kHzのローパスにして中域に厚みを持たせています。減衰率は12db/octです。スーパーツィータとしてJBL-075がついていますが、0.1μFのコンデンサを介して接続されており、かすかに鳴っているという程度で高域をサポートしています。トランスドライブの2A3シングルパワーアンプが送り出すサラボーンやルイアームストロングを、中域に厚みのある暖かい歌声で表現しました。

 

 

 

 

  

サランネットを取り付けた状態          ネットを外すとマルチセルラ形ホーンが現れました。

 

 

 

 

 

 

プログラムにはないのですが、ここでパワーアンプを6CA7プッシュプルアンプに切り替えました。このアンプは大阪府堺市を中心に活動しているTVR(Tone Virtueller Raum)のメンバーが作ったもので、ラックスA3700の回路をベースにしているそうです。寺島靖国のアレンジしたジャズや春の祭典などのクラシックを、2A3シングルとは対象的な広帯域サウンドで表現しました。TVRのメンバーには機械彫刻盤を持っている人もおり、エンブレムやオリジナル小物の製作も安価で引き受けてくれるそうです。受付の横には彼らの製作したエンブレムやシャーシの化粧板などが展示されていました。

 

 

 

 

TVRのメンバーが作った6CA7プッシュプルアンプ

 

 

 

 

 

 

トゥルソニック206のコーナーの最後に、タンノイのシステムに改造を加えて使っている田中康博氏から、スピーカーシステム改造の楽しみ方を語っていただきました。田中氏はすばらしいピアノの音に魅了されてタンノイGRF「メモリー」を購入しましたが、声楽では肝心の声が引っ込んでしまい不満に思ったそうです。そこで同軸ツィータを電気的に切り離してウーファとして使うことにし、ツィータにフォステクスT925、スコーカにウッドホーンをつけたフォステクス252を用いた3ウェイシステムとしました。同時に吸音材で不要な反響を吸収するようにリスニングルームも改良し、ようやく満足のいく結果が得られたそうです。

 

 

 

 

タンノイシステムの改造について語る田中氏

 

 

 

 

 

 

(2) アルテック604-8Hについて 香川哲哉氏

 

 

いよいよアルテック604の登場です。標準的な180リットルのバスレフ形エンクロージャに取り付けられ、ネットワークが交換できるようにウーファー部とツィータ部から線が引き出されています。このシステムのネットワークをアルテックオリジナル、標準的な2ウェイネットワーク、さらにスコーカを加えた3ウェイとし、音楽表現がどのように変わるか試してみようという趣向です。試聴に使ったアンプは、出力トランスにファインメットコアを使った300Bシングルパワーアンプです。また、比較に用いた曲は、カーペンターズの「見つめあう恋」、マリナー指揮のカルメン、由紀さおりの「うふふ」です。

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

アルテックのオリジナルネットワーク

Fc=1.5kHzの2ウェイネットワークですが、ウーファ側の減衰率が12dB/oct、ツイータ側が18dB/octになっています。輪郭がはっきりしていて、とても明瞭な音色でした。軽やかで繊細な高音が印象的です。ただ、少しボーカルの線が細く、力不足の印象を受けました。

 

 

 

アルテックのネットワーク

 

 

 

 

標準的なネットワーク

ファインメットコアのコイルとフィルムコンデンサを使った、Fc=1.5kHz 12dB/octの標準的な2ウェイシステムに交換してみました。音の重心が低音側に移り、ボーカルの声が太く力強くなりました。ただし明瞭度がオリジナルネットワークより落ち、ベールをかぶったような甘い音色です。

 

 

2ウェイネットワーク

 

 

 

 

スコーカを加えた3ウェイ構成

中域をアルテック802-8Gに受け持たせ、38cmウーファに600Hz以下を、小さなホーンがついた同軸ツィータに7Hz以上を受け持たせました。各ユニットが得意とする帯域で分割し、能力を十分に引き出してやろうという考えです。

オリジナルの特徴である繊細な高音がそのまま残り、かつボーカルに力強さが加わりました。音の明瞭度も抜群です。一般的なHiFiスピーカーシステムと同じ構成ですが、オリジナルの味を残したまま広帯域化することができました。

ネットワークを外付けしているので、いつでも元に戻すことができます。演奏曲のジャンルやアーティストに合わせて、2ウェイと3ウェイが選べる楽しいスピーカーシステムができました。

 

 

 

 

3ウェイネットワーク

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2部 作品発表

 

今回は小規出力アンプ2台の発表です。課題曲は設定せず、発表者が選んだ曲を持ち時間25分演奏しました。

 

 

 

(1) 6CA7三結シングル 5W 石井宣好氏

 

 

2A3シングル用シャーシを流用したそうですが、ドライバ管のソケットに増幅率35dBの2石トランジスタ回路が挿入されたハイブリッドアンプです。出力トランスの2次側と6CA7のプレートから7.5dBの帰還をかけて、トランジスタを使ったドライバ回路の特性改善を図っています。電源トランスと出力トランスの取り付け穴が電磁結合しやすい向きであけられていたため、電源ノイズを拾いやすくなってしまったとのことですが、本番ではノイズの問題もなく、力強くチェットベーカーの歌う「マイファニーバレンタイン」やモーツワルトのバイオリンソナタを演奏しました。特に、最後に演奏した「星空のブルース」の高らかに響くトランペットが印象的でした。

 

 

 

 

   

ハイブリッド回路を解説する石井氏            6CA7三桔シングルアンプ

 

 

 

 

 

 

 (2) 50BM8プッシュプル 9W 松本登氏

 

 

50BM8の大きさからアンプのサイズが想像できると思いますが、かなりコンパクトなアンプです。スムーズにハンダ付けできるように、事前にハンダ付けする部品の順番を決め、ピンセットを使って組み立てたそうです。三極管のドライバと位相反転管が直結された標準的な回路構成で、五極管接続された出力段を励振しています。リビングに置いてもマッチするように、シャーシとトランスが落ち着いた色に塗装されています。とてもクリアなサウンドで、ウィーン交響楽団の「芸術家の休日」を明るく軽快に表現しました。またタンゴやマンボの演奏では、歯切れのよいバンドネオンやコンガが印象的でした。

 

 

 

 

   

小型アンプの楽しさを語る松本氏               50BM8プッシュプルアンプ

 

 

 

 

 

 

3部 「小型スピーカーの設計と製作

 

 

さて、第3部は小澤隆久先生のセミナーです。今回は、96リットルのバスレフ形エンクロージャに入れたフォステクスFF225WKとフォステクスT90Aの2ウェイシステムを使い、小型スピーカーの低域不足の改善について解説していただきました。試聴に用いたエンクロージャは、半導体アンプに比べてダンピングファクタが低い真空管アンプ用にQを再定義して設計したものだそうです。また低域とのバランスをとるため、ネットワーク回路にLCRイコライザを挿入して中高域を抑えています。試聴に用いたエンクロージャの設計と製作は「MJ無線と実験」誌2011年12月号と2012年1月号に、LCRイコライザは2012年2月号と3月号に掲載されていますので参考にしてください。

 

セミナーではイコライザ回路を外した場合と挿入した場合で効果を比べてみましたが、イコライザを挿入したほうが明らかに低音による音の厚みが増しています。LCRイコライザは特性が0.5dB違っても音楽表現が違ったものになるので、定数の設定はとてもシビアだそうです。中高域がフラットになるように時間をかけて回路定数を調整する必要がありますが、小規模なリスニングルームで小型スピーカーを使って音楽を楽しんでいる人(私も含めて)、比較的ローコストで大きな効果が狙える手法だと思いました。

 

 

 

 

    

LCRイコライザ回路を解説する小澤先生     FF225WKを用いた小型スピーカーシステム

 

 

 

 

 

 

新年会(懇親会)

 

 

 

さて、最後は会場を隣の「茜の間」に移し、お楽しみの新年会となりました。スパークリングワインのコルクがはじける音とともに乾杯、そしてたくさんの大皿に盛られた料理を立食形式で楽しみました。

 

 

 

 

 

今回は35名の会員が集まりました。うち5名が新しい会員です。小澤先生を囲んで、小型スピーカーシステムの醍醐味を語り合っている方もいらっしゃいました。

 

 

 

 

 

今回は新年会ということで、アコーディオンとギターによるミニライブがありました。ミニといっても、約1時間の本格的な演奏です。力強いフラメンコ、タンゴ、ジャズなどを楽しみました。

 

 

 

 

 

次回は2012年4月21日(土)の第46回発表会となります。

久喜総合文化会館で盛り上がりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  システム構成

CDプレーヤ

ソニー SCDXE800(CD-SACDプレーヤ)

MARANZ CD880J  (石井氏の作品発表で使用)

LPプレーヤ

ケンウッド KP990

カートリッジ デノン DL-103

プリアンプ

安井式CR型ハイゲイン仕様(イコライザ部のみ使用)

当会会員 上田氏自作

パワーアンプ

300Bシングルアンプ 8W(ファインメットトランス使用)

2A3シングルアンプ 樫村会長自作

6CA7プッシュプルアンプ TVRメンバー自作

スピーカシステム

トゥルソニック206

アルテック604-8H

小澤先生製作のFF225WK使用システム

 

 

 

 

 

 

 

 

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