43回作品発表会

話題の300B聴き比べ

 

 

 

 

 

 

 

 例年より早く梅雨入りし、昨日より雨となったあいにくの週末でしたが、会場となった久喜総合文化会館小ホールには180名あまりのオーディオファンが集まりました。今回の作品発表会は、第1部が4名の作品発表、第2部が「話題の300B聞き比べ」というテーマによる4機種の300Bの聞き比べ、第3部が協同電子エンジニアリング株式会社様による300Bドライブ845シングルアンプのデモンストレーションという構成で行われました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロビーではバザーが開かれ、開場と同時に電子部品を買い求める多くのオーディオファンが集まりました。当倶楽部も売り上げを東日本大震災の義援金にあてるために出典しましたが、会員はじめ多くの協賛企業より電子部品やオーディオ製品が寄せられました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1部 作品発表

 

 

 

 

 さて、樫村会長の開会の挨拶のあと、今年の執行役員3名の紹介があり、作品発表会が始まりました。第1部は4名の会員が制作したパワーアンプの試聴です。25分の持ち時間の中で始めに課題曲を2分程度演奏したあと、出品者の選んだ曲を数曲演奏するという形で進められました。

今回の課題曲はジュリーロンドンの「You'd be so nice to come home to」です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(1) WE-311B プッシュプル 1.5W 市川恵三氏

 

 

 

 原型はWE-95Aモニターアンプですが、43の代わりにWE-311Bを使っており、ドライバ段の利得を補うためWE-141A型のラインアンプ回路を組み合わせたそうです。出力は1.5wですが、歪みもなく十分な音量でジュリーロンドンの歌を演奏しました。トランス類もWE製を使用しているとのことで低音から高音までバランスがとてもよく、シューベルトの「ます」やドーリーベーカの歌う「On the sunny side street」をのびのびと表現しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

WE-311Bプッシュプルアンプ

 

 

 

 

(2) 12AQ5 三結パラシングル 3W 前田強氏

 

 

 当倶楽部のトランス製作分科会のメンバーで、今回出品したアンプのトランスはすべて自作です。なかなか思い通りの特性にならず、何度もほどいては巻き直したといった苦労話も聞かせていただきました。しかし苦労のかいあって、引き締まった音でジュリーロンドンの歌声を披露してくれました。またショパンのノクターンでは、繊細なピアノの響きをやさしく表現していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

12AQ5三結パラシングルアンプ

 

 

 

 

(3) RCA-2E24 プッシュプル 4W 北嶋光敏氏

 

 

 

 WEの7Aアンプの回路を、直熱五極管2E24用にモデファイしたアンプで、WEのシャーシを使って往時の雰囲気を出しています。音は明るく軽快で、ジュリーロンドンが歌うステージの奥行き感まで表現していました。ビッグバンドが演奏する「In the mood」も、ゴージャスな雰囲気がよく出ています。パガニーニの弦楽曲やヴィバルディの交響曲では、艶のある弦の響きを優雅に演奏しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

RCA-2E24プッシュプルアンプ

 

 

 

 

(4) 6C33 OTL 8Ω 20W 保谷和男氏

 

 

 フィラメント電流が大きくウォーミングアップに時間がかかるなど取り扱いが難しい6C33ですが、スピード感があるさわやかな音に魅了されたファンも多いのではないでしょうか。期待通り保谷氏のアンプも、OTL特有の透明感の高い音でジュリーロンドンを表現しました。パワーも十分あるので、カンターテ・ドミノのオルガンソロでは心地よいパイプオルガンの重低音が会場いっぱいに広がりました。バイオリンと東南アジアの打楽器の競演など、ユニークな演奏曲もあり、弦と打楽器の力強い響きを堪能しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6C33 OTLアンプ

 

 

 

 

 

 

 

2部 「話題の300B聞き比べ」

 

 

 

 第2部では、米国製ウェスタンエレクトリックの1981製オリジナルWE-300B、日本製の高槻TA-300B、スロバキア製のJJ-300B、ロシア製のエレクトロハーモニクスEH-300Bの4種類を聴き比べました。始めにブランド名を明かして試聴し、次いで順番を入れ替えブラインドにて試聴しました。このブラインドでの試聴では会場の参加者にもプログラムに折り込まれたエントリーカードで参加してもらい、みごと4機種正解した方には、倶楽部から「地獄耳認定証」が贈呈されるという趣向です。

試聴にはエルガー作曲の「威風堂々」、松尾明トリオの「ホテルカルフォルニア」、竹内マリアの「人生の扉」の3曲を使いました。またブラインド試聴では、会場からの要望が強かった「人生の扉」を使っています。試聴に用いたアンプは繊細な音の違いをなるべく表現できるように、出力トランスとチョークコイル(DC点火のフィラメントチョークも含めて)にファインメットコアを用いています。

 

 

 

 

 

 

試聴に用いた300Bシングルアンプ

 

 

 

 

 

WE-300B

 WEが継続生産していた時代の最晩年の製品で、現在ではペアで30万円ほどの価格ですが、当時は秋葉原で1本6万円で入手できたそうです。繊細な音は誰もが認めるところですが、特に中音域のリアルで引き締まった音が印象的でした。竹内マリアがステージ上で一歩前に出て歌っているように感じました。

 

TA-300B

 最近生産が開始された日本製真空管です。価格は1ペア10万円程で、きれいな桐箱に納められています。日本の伝統工芸品を思わせるような繊細で緻密な音なので、クラシックやジャズなどジャンルを問わずに楽しめる球だと思いました。

 

JJ-300B

 おなじみのスロバキア製の球で、肩のはった独特の外観が特徴です。価格も1ペア3万円台と、入手性の良さも魅力です。「威風堂々」の演奏では、抜群の音像表現には驚きました。また「人生の扉」では、ピアノの響きを美しく表現していました。

 

EH-300B

 ロシア製の300Bで、価格は1ペア2万円程と最もコストパフォーマンスに優れています。「ホテルカリフォルニア」では、線が太く力強い音というこの球の特長が、演奏の熱気をうまく伝えてくれました。また「人生の扉」では、竹内マリアが歌うステージの奥行きまでリアルに再現しました。

 

 ブラインド試聴では79人のエントリーがありましたが、正解者は4名でした。この4名の方には、当倶楽部より「地獄耳認定証」が贈呈されました。

 

 

 

 

 

 

出番を待つ300Bたち。

右側のアンプを使い、フィラメントのウォームアップが行われている。

 

 

 

 

 

 

 

3部 協賛企業の製品デモンストレーション

 

 

 

 

 今回の製品デモンストレーションは、協同電子エンジニアリング株式会社様の世界ブランドであるフェーズメーションから発表されたパワーアンプ「MA-1」です。このアンプは、出力管UV-845の性能をいかんなく発揮させるため、1000Vのプレート電圧をかけたセトロンUV-845を、1988年製のWE-300Bがトランスドライブしています。初段管には6SN7を使っており、完全な無帰還3段構成です。本体はモノーラルで出力は35W。重量が50kgもあり、価格は1台250万円という高級機です。演奏はすべてLPレコードを用い、カートリッジはP-1G、フォノアンプにEA-1U、パッシブアッテネータがCM-1000と、フェーズメーションの最高峰の機器が布陣して試聴が始まりました。

 

 

 

 

 

300Bドライブ845シングルパワーアンプ「MA-1」

 

 

 

 

 

 

 クラシック、ジャズ、歌謡曲といろいろなジャンルの曲を演奏しましたが、音楽の要である中音域がとても緻密で充実しており、トランス結合アンプの特徴がよくでていました。カンターテ・ドミノでは、パイプオルガンの低音がLPレコードならではの心地よい響きで会場いっぱいに広がりました。また一方ではテレサテンの甘い歌声を、とてもリアルに表現していました。MJQのスピード感あふれる演奏も印象的です。改めて完全無帰還システムの音楽表現力のすごさを感じました。

 

 

 

 

 

 

パッシブアッテネータ「CM-1000」と、フォノアンプ「EA-1U」

 

 

 

 

 

 

 

3部が終了したあと、4種類の300Bをすべて聴き分けた4名の方に、当倶楽部の「地獄耳認定証」が授与されました。そして最後に、自作真空管オーディオファンに向けての熱いエールが岩村先生より送られ、本日のプログラムがすべて終了しました。

 

 

 

 

  

「地獄耳認定証」の授与式                 挨拶をされる岩村先生

 

 

 

 

 

懇親会

 

 

 

 いつものように会場をレストラン・ウィラージュに移し、懇親会が始まりました。今回も40名近くのオーディオファンが集まり、おいしい料理に舌鼓をうちながら楽しいひとときを過ごしました。

次回の第44回作品発表会は、10月29日(土)に久喜総合文化会館で開催予定です。またみなさんと一緒に、オーディオで盛り上がりましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機器の構成

 

 

 

CDプレーヤ

CEC TL51 (サンバレー製2Tube DA Converter)

 

 

 

 

プリ・ラインアンプ

LCRイコライザ付き 当倶楽部 上田氏自作

 

 

 

 

パワーアンプ

300Bシングル(OPT、チョークにファインメットコアを使用) 当倶楽部 香川氏自作

 

 

 

 

スピーカシステム

ツィータ JBL 075

スコーカ アルテック MR64型マンタレーホーン

     288-16Gドライバ

ウーファ アルテック 515-8G

ネットワーク 樫村会長自作

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義援金のご協力に感謝いたします。

 

 3月に発生した東日本大震災の被災者の方々を応援するため、我々にも何かできることはないかと考え、第43回作品発表会ではカンパのお願いとバザー売り上げの寄付を行うことにいたしました。おかげさまで、多くの参加者のご賛同と協賛企業様のご協力を得ることができ、下記の金額の義援金が集まりました。

先般開かれた当倶楽部役員会にて、新聞社等の機関を通じた寄付とすることが決まりました。ご賛同いただきました皆様には、改めて御礼を申し上げます。

    カンパ      20,000

    バザー売り上げ 300,000

 

バザーへの物品をご提供いただいた皆様(五十音順)

  有限会社アイエスオー様

  共同電子エンジニアリング株式会社様

  株式会社サンオーディオ様

  株式会社ゼネラル産業様

  株式会社トライオード様

  ノグチトランス販売株式会社様

橋本電気株式会社様

  寄贈品をお持ちいただいた会員の皆様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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