彩球オーディオ倶楽部

39回作品発表会・新年会

 

 

 

 

 2010130()に、春日部市の料亭・大榎(おおえのき)にて、彩球オーディオ倶楽部の第39回作品発表会と新年会が開催されました。普段は結婚式の披露宴などに使われる会場なので、久喜の総合文化会館とは一味違った、華やいだ雰囲気で始まりました。当日は朝から好天にも恵まれ、1230分の開会時間には、用意された100席がほぼ埋まってしまいました。

 今回のイベントは、GIPラボラトリ様からお借りした励磁型46cmウーファーを使ったスピーカーシステムを、会員のアンプで鳴らしてみようという趣向です。0.7W71Aシングルから85W845プッシュプルまで、11台の自作アンプがそろいました。まず始めに樫村会長の新年の挨拶と、今年の執行役員を務める西堀氏と五十嵐氏の紹介がありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1部 ネットスタッフ様による

    レコードプレーヤ用防振装置のデモンストレーション

 

 

 第1部は協賛企業のデモンストレーションです。今回はネットスタッフ様より、アナログプレーヤ用防振装置のデモンストレーションがありました。空気の圧力でプレーヤの乗った台を浮かし、床からの振動を吸収する防振台です。これまで大型のものが精密機械の組み立て工場で使われていましたが、プレーヤ用に小型化したものだそうです。

 

 

 

 

 

 

 まず回転を止めたターンテーブル上のレコードに針を乗せ、防振装置を作動させた状態と空気圧を切って防振効果をなくした状態で、機械的振動をFFTアナライザで比較してみました。防振装置を作動させた方が、明らかに低域の振動が抑制されています。次にターンテーブルを回してレコード演奏し、音の違いを確かめてみました。カートリッジが無駄な振動を拾わなくなったせいでしょうか。防振効果をなくした状態ではモヤモヤした感じがあったのですが、防振すると音がすっきりします。レコードからピックアップする情報量が増えたようです。完成度の高いアナログシステムをお持ちの音楽ファンには、お勧めできると思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2部 シングルアンプによる試聴

 

 

 さて、いよいよ試聴会の始まりです。いつもは会員の自作したアンプが主役ですが、今回は励磁型の46cmウーファーを使ったオリジナルスピーカシステムの試聴が目的です。アンプの聴き比べではないので、課題曲は設定しませんでした。使用した機器は次のとおりです。

 

CDプレーヤ:CEC TL-51

    サンバレー製2 Tube DA conveter

LPプレーヤ:ガラード Model 301

カートリッジ:オルトフォン SPU-A

MCトランス:会員自作

    パーマロイコアを使用

プリ・ラインアンプ:会員自作

    LCRイコライザ付き

スピーカシステム:

    ツィータ JBL-2402

    スコーカ JBL-2440+2350ホーン

    ウーファ GIP-4181A

    ネットワーク 会長自作

    エンクロージャ 会長自作

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

71A シングル 0.7W 竹内文男氏

 トップバッターは71Aシングルアンプです。製作者の竹内氏より、「まな板アンプ」作りに凝っており、この71Aシングルがその最初のアンプと解説がありました。

 出力は0.7Wですが、スピーカの能率の高さも手伝ってとても大きな音です。アルビノーニのオーボエ協奏曲では、初期の三極管特有の澄み切った弦の音が、美しく会場に響きました。女性ボーカルにも艶があり、石川さゆりの歌う「月の法善寺横丁」を情感たっぷりに演奏しました。

 

 

 

 

 

 

 

45 シングル 1.5W 中澤雅生氏

 二番手は中澤氏の45シングルです。アルミの地肌むき出しのシャーシですが、第23回発表会に出品した作品の試作機で、現在は負帰還回路の実験に使っています。ドライバの6C6は五極管接続なので、45のプレートから6C6のカソードに3dBの弱い直流電流帰還をかけています。

 ヘンデルのメサイア(ショルティ指揮ボストン交響楽団)から、アリアを美しく演奏しました。

 

 

 

 

 

 

6V6 (三結) シングル 1.5W 嶋田和弥氏 

 三番手は嶋田氏の6V6三極管接続シングルです。ドライバには6SA7を使っており、コンパクトなシャーシに3本のGT管がちょこんと乗っています。自宅で書き物やパソコンをするとき、BGMを流すのに使っているそうです。

 アナログレコードファンの嶋田氏の持ち時間は、全てLPによる演奏です。ウィーン少年合唱団の歌うラデツキー行進曲では、明るく元気な歌声が会場に広がりました。

 

 

 

 

 

 

 

6V6-6L6 コンパチブル 3W 五十嵐昭氏

 四番手のアンプは、ブルーのシャーシが印象的な五十嵐氏の6V6-6L6コンパチブルアンプです。ドライバには6SL7を使っており、6V6族、6F6族、6L6族の出力管が差し替え可能です。今回は6L6を使用しました。

 普段ジャズを良く聴くという五十嵐氏のアンプは、ピアノも歯切れが良く、とても心地よい音です。ダイアナ・クラールの歌うフライミー・トゥ・ザ・ムーンを、とてもセクシーに表現しました。

 

 

 

 

 

 

 

6C33C シングル 10W 沼口眞一氏

 五番手は沼口氏の6C33シングルです。6C33Cは皆さんご存知のロシア製双三極管ですが、最近見かける機会が減ってきました。ウォーミングアップに5分程度かかるなど、少し取り扱いに難しいところがありますが、ひとたび実力を発揮すると素晴らしい音楽が堪能できます。このアンプは、トランスをはじめ抵抗器まで自作だそうです。

 今回は「シェルブールの雨傘」や「男と女」といった懐かしい映画音楽を、上品に演奏しました。送信管を使ったアンプのように、歯切れがよくスピード感のある音が印象的です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

H3030A シングル 16W 新屋紀宏氏

 シングルアンプ最後の試聴は、新屋氏のH3030Aアンプです。とにかく、レントゲン装置のレギュレータ管H3030Aの巨大な姿に圧倒されます。フィラメントが7.5V24A、プレート電圧10V、プレート損失1.5kWという定格も尋常ではありません。とても定格通りでは扱えないので、プレート電圧を600V、プレート電流を100mAに落として使っているそうです。ドライバは6SF56CA7三結によるG2ドライブです。

 ちなみに、ケーブルが接続された真空管の上部がカソード、低部の袴の部分が放熱フィンのついたプレートです。倒立した形でシャーシに取り付けられています。

 さて、出てきた音は、柔らかで聴き疲れしない音でした。10W以下のアンプで聴いた音とは違った、躍動感のようなものが感じられます。やはり46cmウーファーの特性を十分引き出すには、10W以上の出力が必要のようです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、シングルアンプの試聴が終了したところで、20分間の休憩です。出品作品の写真をカメラに収める人、発表者から回路構成を聞いてメモに記録するひと、ステージの前は多くのオーディオファンで人垣ができてしまいました。

 ステージ上では、スタッフが第3部の準備を始めていました。こんどはプッシュプルアンプの試聴です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3部 プッシュプルアンプによる試聴

 

 

6C19P SEPP(OTL)15W/8Ω 関根勇二氏

 プッシュプルアンプ最初の試聴は、ロシア製三極管6C19P16本(片チャンネル8本)使った関根氏のOTLアンプです。大型のカットコアを4個使った電源トランスと、チョークコイルも自作です。

 サマータイムやイパネマの娘などの軽音楽を、OTLアンプ特有のスッキリした音で表現しました。特に、軽やかに響くサクスフォンと心地よいパーカッションが印象的でした。

 

 

 

 

 

 

WE349 プッシュプル 7W 吉田幸吉氏

 二番手は吉田氏のWE349プッシュプルアンプです。WE349はウエスタン・エレクトリック製の五極管ですが、吉田氏のアンプでは五極管接続と三極管接続が選べるようになっています。ドライバ回路は6J7のクォード型だそうです。

 「時の過ぎ行くままに」では、明るく軽やかにローズマリ・クルーニの歌声を表現し、ブランデンブルグ協奏曲ではしっとりと古楽器を演奏しました。

 

 

 

 

 

 

KT66 プッシュプル 50W 西堀正一氏

 三番手は西堀氏のKT66プッシュプルアンプです。さすが出力が50Wもあると、会場の後ろの席でも十分な音量で音楽が楽しめます。

 フランク・シナトラの歌う「ニューヨーク・ニューヨーク」を華やかに、またグレートジャズトリオの「ムーズ・ザ・ムーチ」では、ドラムスのスピード感あふれるスティックさばきをみごとに表現しました。

 

 

 

 

 

 

EL156 プッシュプル 50W 上田順筰

 四番手は上田氏のEL156プッシュプルアンプです。高出力ながらひずみ率が0.01%以下と極めて低いので、新しいスピーカシステムの試聴では彩球オーディオ倶楽部の標準機として活躍している装置です。

 ジュゼッペ・ヴェルディ作曲のオペラ「アイーダ」では大編成による合唱を朗々と演奏し、またローズマリー・クルーニの歌う「追憶」をしっとりと優しく表現しました。

 

 

 

 

 

 

 

845 プッシュプル 85W 横山潤一氏

 試聴会の最後は、トリュームタングステン・フィラメントが煌々と輝く横山氏の845プッシュプルアンプです。プレートには1kVを越える電圧が印加されているそうです。20075月に完成し、自宅のシステムとして使っている装置とのこと。CRからトランス結合に回路を改造し、低音を強化したそうです。

 モーツワルトのフルートコンチェルト2番のフルートのパートを、1オクターブ下げてチェロで演奏するという変わった選曲でしたが、チェロのふくやかな低音がとても印象的でした。また、ムソルグスキーの「展覧会の絵」プロムナードでは、トランペットを厚みのある豊かな音で表現しました。大音量なのに聴き疲れしないというトランス結合型高出力アンプの実力をいかんなく発揮していました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第4部 GIPラボラトリ様による

      スピーカシステムのデモンストレーション

 

 

 イベントの最後は、GIPラボラトリ様によるデモンストレーションです。同社の励磁型スピーカシステムは管球王国誌等でも紹介されており、ご存知の方も多いと思います。今回は下記の構成のスピーカシステムを、本倶楽部の会員である鈴木康夫氏自作の6GB8シングル・オールファインメットトランスアンプと、三須雄二氏所有のALTEC-1586EL34プッシュプル)で鳴らすという豪華な企画です。

 

  ツィータ 597 Model-1

  スコーカ 594 Model-2

  ウーファ GIP-4181A Model-2

  エンクロージャ 7331

  ネットワーク 300Hz 12dB/oct

         3000Hz 6dB/oct Low cut

 

 このスピーカシステムにはクセのようなものがなく、かつ能率が高いので、アンプの個性がはっきり出てきます。いろいろなジャンルの曲を次から次へと演奏しましたが、オール・ファインメット・トランス・アンプの持つ繊細でスピード感のある音と、力強いALTECの音、対照的なふたつのアンプの個性がよくわかりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新年会

 

 

 試聴会も終了し、いよいよお楽しみの新年会です。昨年から新年会は、ここ春日部市で開催していますが、都内や横浜方面から直通電車で来ることができる便利な場所なので、春と秋の例会と同じくらい参加者が集まるようになりました。おいしい料理を食べ、お酒を酌み交わしながら、自慢のシステムや今年の計画などの会話が弾んでいるようです。あちこちのテーブルで、オーディオ談義に花が咲いていました。

 

 毎回多彩な趣向の生演奏が聴ける懇親会ですが、今回は総勢7名からなるタンゴバンド、「オルケスタ・エル・ブエロ」の迫力ある歌と演奏を楽しみました。昭和30年代に日本でもタンゴブームがありましたが、それを彷彿させる美しいボーカルと、力強いバンドネオンのメロディに酔いしれてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次回の作品発表会は、522日土曜日に予定されています。第40回の記念イベントとなるので、楽しい企画がたくさん用意されています。こんどは、久喜文化会館の小ホールでお会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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