「ジャズの聴き方楽しみ方W」

レコードコンサート試聴会レポート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 埼玉県県民活動総合センターにおいて開催された本年度の「ジャズの聴き方楽しみ方W」講座(520日、63日、617日、71日の隔週日曜日にて全4回開催)の最終日、71日には同センター内の小ホールにおいて「魅惑のジャズ・サウンド(3)」と銘打ってLPレコードコンサートが開催されました。

 このLPレコードコンサートについて、わが彩球オーディオ倶楽部がハード面で全面的に協賛、支援を致しましたのでご報告申し上げます。

 

 

 

 

 

 

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埼玉県県民活動総合センターの広報紙で案内された「ジャズの聴き方楽しみ方W」

 

 

 

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「LPレコード鑑賞会」の案内

 

 

 

 

 

 

 

 この講座の特色は、何といっても地元深谷市在住の関口英雄先生の若々しく(1937年生まれ)、情熱溢れる講義内容ではないかと思います。あらかじめ先生が作成されたテキストにより講義が進められますが、このテキストには講義日に演奏される曲目順に曲目、演奏者の紹介が諸々のエピソードを交え懇切丁寧に分かり易く掲載されています。ジャケットもカラーで印刷されており非常に綺麗な仕上がりなので、読んでいてジャズのなんたるかをキチンと、また楽しく学ぶことが出来る優れものです。後日貴重なジャズ資料となるものだと思います。

 

また、実際の講義でのジャズ本来の本質を突かれた講義とともにウイットに富んだ、小咄、川柳、駄洒落等をまじえた軽妙洒脱なお話ぶりは、聞いていて思わず引き込まれてしまいます。

 

 

 

 

 

 

 

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セッティングが済んだ会場で、開演を待つ参加者

 

 

 

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関口先生の講義風景

 

 

 

 

 

 

 

 今回のレポートでは、本講座の第2回目の講義内容で印象深かった「レコードジャケットの話」の講義内容の一部を紹介致します。テキストの中に「ジャズ隆盛期のレコードジャケットには優れたデザインのものが多く、ジャズを耳で楽しむだけでなく、目でも楽しむ。これがジャズのもう一つの楽しみ方だ」「クレフやノーグランを含む比較的早い時期のヴァーヴ、黄金期のブルーノート、ウェストコーストの両雄コンテンポラリーとパシフィック等、これらジャズ専門レーベルから発売されたLPのジャケットには完成度の高いものが多く、ジャケットが気に入ったというだけで内容も分からないまま衝動的にレコードを買う『ジャケ買い』という行動が話題に上る様になった」とありますが、正に我々の若かりし頃の経験を彷彿とさせる内容ですね。

 

 

 

 

 先生が取り上げたイラストレーター、デヴィッド・ストーン・マーティンのヴァーブ時代の数々のジャケットに関する名講義は非常に感懐深いものでした。中でも「Billie Holiday at JATP」(ビリー・ホリデイの魂)というアルバムのジャケットは「愛する人の背信に挫折し悲嘆にくれる女性の心情をヌードの後姿に託して描いた衝撃的なジャケットで、ベッドの上に脱ぎ捨てられたコートや投げ捨てられた受話器が心の痛手の深さを象徴するかのようである」と解説され、「Groovinwith Jacquet」というアルバムでは『イリノイ・ジャケーのジャケットに関するミステリー』と題してこのジャケットの元になったと思われるハリー・エディソンと一緒に写っている別のセッション時の写真を題材にして、この時のジャケーの今にも飛び出てきそうなぐらいの迫力あるイラストのジャケットをハリー・エディソンが加わっていない「Groovin’」というアルバムに何故使ったのかの検証、解説を縷々しておられて、興味の尽きない内容でした。

 

 

 

 

 

 

 

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「ビリー・ホリデイの魂」のジャケット

 

 

 

 

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「グルーヴィン(イリノイ・ジャケー)」のジャケット

 

 

 

 

 

 

 

さて、当日の「LPレコード鑑賞会」のプログラムは45回転レコード3枚と33回転レコード3枚から先生が選曲された計16曲を先生の解説とともに、小ホール全体に響き渡る心地よい音質で聴くことが出来ました。

 

レコードの演奏者とアルバムタイトルは、下記の通りです。

 

 

 

 

第1部 45回転レコード

 (1) オスカー・ピーターソン/ナイト・トレン

 (2) ブルー・ミッチェル/ブルース・ムーズ

 (3) ウィントン・ケリー/ケリー・ブルー

 

第2部 33回転レコード

 (1) バルネ・ウィラン/フレンチ・バラッズ

 (2) キャロル・スローン/ハッシャ・バイ

 (3) マーティ・ペイチ/ブロードウェイ・ビット

 

 

 

 

 

 

最初の曲のオスカー・ピーターソンの「Cジャム・ブルース」の爽快な疾走感がたまりませんでした。ブルー・ミッチェル盤は「アイル・クローズ・マイ・アイズ」を33回転盤と45回転盤との聴き比べをいたしましたが貴重な経験でした。最初に33回転盤を聴いて、その後45回転盤を聴いたのですが45回転盤の出だしの部分で「音が柔らかく」感じられたのと曲全体としては33回転盤よりはより迫力感があったと思いました。また「グリコの2度美味しい」ではありませんが、ブルー・ミッチェルのコテコテを排した爽快なファンキー節と共にウィントン・ケリーの適度な鋭さと切れ味の良いピアノプレーが楽しめました。

 

 フランス人バネラ・ウィラン(ts)の「詩人の魂」「枯葉」は上品な西欧ジャズの可能性を示していましたし「ハッシャ・バイ」等キャロル・スローンのういういしいヴォーカル3曲はとにかく聞き惚れてしまいました。発売当初より評判の高かった「マーティ・ペイチ」盤を必死の思いで手に入れられた苦労話もさることながら、アート・ペッパーとベースのスコット・ラ・ファロが参加したこのレコードの音質の良さは「素晴らしい」の一言でした。

 

 

 

 

 

 

今回、用意した再生装置は、下記の通りです。

 

 LPプレーヤー:YAMAHA GT750ダイレクト・ドライブ

(吉田幸吉さん)

 カートリッジ:Ortofon SPU-AE(吉田幸吉さん)

 MCトランス:会員手巻き型(磯貝朝之さん)

 プリアンプ  MARANTZ Model-1150 プリ部使用

(吉田幸吉さん)

 メインアンプ:813モノアンプ 出力30W 会員自作

(横山潤一さん)

        300B pp 出力15W 会員自作

(石風嘉彦)予備機

 スピーカー  Altec604-8G 同軸型2Way

エンクロージャー会員自作(安藤友一さん)

 

 

 

 

 

 

 

彩球オーディオ倶楽部の会員5名(吉田、五十嵐、横山、安藤、石風)は当日9:00に会場裏手の駐車場に集合、それぞれ機材を会場小ホールに運搬の上、セッティング開始。安藤さんより慎重なスピーカーのセッティング位置決め作業及び高域調整作業があり、超弩級横山アンプの813(送信管)のトリタンフィラメントに煌々と火が灯り本体用と整流器用の2種のクーリングシステムも順調に稼働し始めるころ音出し開始です。

 

 

 

 

 

 

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休憩時間でのアンプ説明

 

 

 

 

 

 

 

LP操作担当の吉田さんがオルトフォンSPU-AE3グラム針圧を掛けて、安藤さん持参のジャズレコードを聴いての最終調整です。写真担当、レコード整理担当の五十嵐さんもスタンバイOKです。関口先生も13:00に会場入りされ、約200名の来場者の会場入りが終了し、予定通り13:30に順調にコンサートを開始する事が出来ました。

 

 

 

 

 

 

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休憩時間でのカートリッジ説明

 

 

 

 

 

 

 

 今回のレコードコンサートの終了時に、何人かの方に「今回のコンサートは如何でしたか」と質問いたしましたところ、ほとんどの方が「良かった、レコードがこんなに素晴らしい音がするとは驚きですね」とか「他にレコード・コンサートがあれば是非聴きに行きたい」等、概ね高評価をいただきました。また後日、講座担当の奥川様に回収アンケートの結果をお聴きしましたところ、90%以上の方が「満足」だったこと、大半の方が来年も是非ジャズ講座の継続を希望されておられるとのことでした。

 

 

 

 

 

 

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横山さん製作の813アンプ

 

 

 

 

 

 

 

 当倶楽部がこのように地域活動の一端を担うことが出来て、「良かった!」とつくづく感じた次第です。

 

 なお、2013年度も47日、414日、421日、512日の各日曜日に、「ジャズの聴き方楽しみ方D」が開講される予定となりました。興味ある方は受講をお勧め致します。

 

 

 

                    石風嘉彦()

 

 

 

 

 

 

2012730日 アップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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